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スゲーぞECD!

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別冊CQ hamradio QEX japan10,11号に紹介されたエラー訂正付きTNCの制作の記事通りのシステムで実験を行い効果を確認しました。

エラー訂正機能付きTNC……あまりにも名前が長いので、作者と相談の結果ECD(Error Correction Digipeater)と改名致しました。

これはECDによる144MHz帯と、430MHz帯において移動局対固定局間の1200BPSのパケット通信による、約2ヶ月間のエラー訂正機能の評価を行った実験結果です。


Exif_JPEG_PICTURE実験中の機材
記事によるとECDは、3系統のシステムから実現できます。(3,5,7,9系統) 今回はコストパフォーマンスに優れた5系統のECD-5にての実験です。アンテナの配置にも5系統はスマートです。アンテナと受信機の数が多いほど、効果があるのは予想できるのですが、その分設備が大掛かりになります。

作者の推奨も5系統でのシステムですので、良い結果が出ているのでしょう。

動作原理は難しくないのですが、運用経験から無駄を省き、素晴らしいアイディアで非常に考えられた構成となっています。ROMを使って構成されていますが、ソフトウェアが動作している訳ではないので、信頼性も十分です。

測定器等で、比較値を出したい所ですが、システムの構成上、正確な比較が難しく、このような感覚に頼る比較となっていますが、雰囲気でも伝わればと思います。

個人的な感覚も多く加味されており、他の方が実験を行うと多少の違いがあるかもしれませんが、ご了承ください。


 

  • まずは1個のモデムで標準的な運用(144MHz帯)

144MHz帯はAPRSにて多くの局が通信されていると思います。このバンドは空間ロスも比較的少なく、波長も長いのでフェージングに対しても有利で、アンテナも短い物も使う事が出来、大変扱いやすいバンドです。

 

非常にアマチュア的ではありますが、いきなりこのECDシステムによる通信を行うと、感覚的にどれ位の差があるか?が解らなくなると思い、しばらく1個のモデム(TNC)で2週間ほど運用してみました。人間の感覚として1割程度の変化では、差がなかなか感じられなく、少なくても3割ほどは変わってほしいと思っていました。

 

標準的な構成では、音声の通話同様に信号が弱くなると復調は出来ませんが、ある程度届いていれば、通信可能です。但し、高速道路走行中は、かなり信号が強くないと復調されない事があり、これが改善されるか?と期待してのECDの実験となりました。

 


 

● いよいよECDのテスト(144MHz帯)

144MHz帯においてECDに交換して最初に感じた事は、さほど変化がないと言う事でした。(作者には言いませんでしたが、内心、ガッカリしました)これは私の車での朝夕の移動範囲が15Km程度で、実験エリアのすべての場所である程度通信できる信号強度があったからです。

高速移動中の局は、距離が離れていてもよく復調していると言う感じはありましたが、同時に比較ができないため、感覚に頼る結果となります。

 

1ヶ月ほどこのECDでの運用をした後、元の1個のモデムに戻してみた所、差が見えてきました。30Km以上離れている移動局が復調出来ないのです。ECDのシステムの時は、かなり距離がある(30~40Km)程離れた移動中の局も復調されており、ECDの効果を再認識できました。

 


 

● 次は430MHz帯のテスト(標準的な構成)

まずは、1個のモデム(TNC)で様子を見ます。430MHz帯での移動局相手の実験をやった事が無かったので予想を上回る通信距離の短さで、びっくりです。

 

当初、430MHz帯はあまりにも通信距離が短いので、受信機の感度が悪いと思い、5台の受信機を用意し、比較交換、感度調整をしましたがどれも一般的な感度があり正常でした。モデムも何度もオシロでチェックしましたが、これも改善せず。モデムの入出力レベルも見直しましたが、移動中2~3Km程離れると復調しずらくなり、さらに離れると走行中は全く通信が成り立ちません。

どうやら5W程度の空中線電力と、2dBi程度のアンテナの組み合わせだからではないようで、送信出力にあまり関係なく、復調されません。

これは、車を停車させビーコンを出すとデジピートされる事でわかります。

 

144MHz帯での運用と比べるとこれでは、とても実用レベルではない感じです。 ECDの作者に聞いてみた所、この復調率の悪さがECD開発のきっかけだったようで、(早く言ってよ)

よく我慢して430MHz帯で多くの方がデータ通信しているなぁ…と言う感じです。


 

● いよいよ430MHz帯でのECD実験

すべての機器が正常と解った時点で、これがどれだけ改善するか?期待薄のままECDのシステムに取替てみました。

 

結果は、題名にもあるように「スゲーぞECD」の一言です。劇的に良くなります。

壊れていた高周波増幅段を修理したような感じ?とでも言いましょうか?この感動が文字で伝わるでしょうか?

 

現在430MHz帯で対移動局向けに1200BPSパケット通信を行っている人には是非使ってもらいたいシステムです。

作者の解説にもあるように、430MHz帯は波長も短く、よく反射する性質からフェージングの周期が短く、頻繁にデータを取りこぼします。あまりにも復調率が悪いので諦めてしまう人も多いと思います。私も1個のモデムでは改善するために苦労しましたが、結局使えるレベルにはなりませんでした。

ECDは複数のアンテナを使い、複数の受信機でエラーを訂正します。移動局を運用した事がある方なら解かると思いますが、信号待ち等で、ほんの10cm程度車を動かしただけで、信号強度が極端に上がったり下がったりします。

位置を変えて設置した複数のアンテナには信号が受信出来ているアンテナと、電波の谷で、受信出来ていないアンテナもあるでしょう。ECD-5システムは2本のアンテナまで受信出来なくても、データを復元できるのです。それもビット単位で。

空間ダイバシティと言う言葉はよく聞くと思いますが、マルチパスの影響を軽減するために、複数の距離をおいたアンテナを使用し、一番よく受信出来ているアンテナに切り替えて使う、又はアンテナから受信部まで複数用意し、最終的に受信された良好な方の復調信号を使うと言う物です。ECDは積極的にビット単位での訂正機能も持ち、一歩進んだシステムとも言えます。

 

このビット単位でエラーを訂正する事により、絶大な効果を得ています。複数の設備でパケット単位で受信し、良好な方を採用すると言うシステムでは効果のなかった信号が浮き上がってきます。

不思議なほど移動している局に対しては劇的に良くなります。いくら送信電力を上げてもこれほどの効果は期待できないでしょう。

430MHz帯のパケット通信ではこの復調率の悪さから、強い電波を受信できるように、山頂等に設備を設置する事が多いようですが、信号強度がいくら強い場所でも移動中は必ずフェージングが伴います。

私の所のようにロケのさほど良くない場所で、これだけ良くなるのですから、山頂等でこのシステムを使えば、信号が届く範囲の移動局は全く問題なく復調できる事でしょう。

このようにこのECDシステムは対移動局相手の通信には絶大な効果を発揮します。(特に430MHz帯)アンテナの位置が固定されている固定局間の通信にはさほど効果がありませんが、長い柳のようなアンテナで風で揺れているような場合は、固定局間でもかなり効果があります。

今後の課題としては、移動局側での復調は、ECDを設置しない限り、今まで通りですので何とかしたいと作者も思っていることでしょう。

 


おまけ

Exif_JPEG_PICTUREアンテナ組み立て中の様子
アンテナの設置ですが、ECD-5とした場合、すべてのアンテナで受信するのですが、ECDで送信に使うのはこのうち1本のアンテナです。

特に注意しなければならないのは、ハイパワーでの運用の場合です。単純な計算ですが、50Wの電力でアンテナ間1m、すべてが2dBiのアンテナを使用して送信した場合、受信アンテナから300mW程度の電力が受信機に導かれます。

 

4台の受信機は常に受信状態ですので、高周波増幅段が壊れなければいいのですが、機器によっては不具合が出る事も考えられます。無指向性アンテナの指向性を考えて位置を上下にずらして設置すると良いでしょう。上下にずらす事により、簡単に20dB程度は減衰させる事ができます。特にプリアンプ等のデリケート機器を使用されている場合は、同軸リレー等で送信時には受信機のアンテナ端子を終端するような方法も有効です。

 

 

430MHz帯での効果は絶大ですが、144MHz帯においても弱い信号を受けた時、見通しが悪く反射が多い場所を移動中の局との通信、高速で移動中の電波を受ける等は、かなりの効果がありますので、まだまだ実験の余地があり、多くの方に使ってもらいたい一押しのシステムです。

 

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